面接のたびに、行き帰りの道がこわかった話
私は今までに7回、仕事を変えてきました。在職中に転職活動をしたときは、毎回同じところでつまずきました。
一番きつかったのは、面談や面接のために休みを取ることでした。有給を申請するたびに「何に使うんですか」と聞かれないか、心のどこかで身構えていました。休みを取れたとしても、今度は面接に向かう道のりが怖かったんです。駅やコンビニで会社の人とすれ違わないか、行き帰りの道でずっと周りを気にしていました。
何度やっても慣れませんでした。もしあなたも今、「バレたらどうしよう」とびくびくしながら転職サイトを開いているなら、その感覚はすごくよく分かります。
この記事では、なぜバレることが怖くなるのかを整理したうえで、法律上の考え方、実際にバレやすいルート、そして今日からできる具体的な対策までをまとめました。
「バレたらどうしよう」の正体を整理する
転職活動そのものは、あなたの自由です。それでも怖くなるのは、次のような不安が重なっているからだと思います。
- 今の職場での評価や居心地が悪くなるかもしれない
- まだ内定が出ていないのに、噂だけが先に広まるかもしれない
- 上司や同僚に、裏切ったように見られたくない
こうした不安は、気にしすぎではありません。ただ、転職活動をしている人は決して少数派ではありません。マイナビキャリアリサーチLabの「転職動向調査2026年版(2025年実績)」によると、2025年の正社員の転職率は7.6%で、調査開始以降で最も高い水準でした。あなたの職場にも、同じように静かに動いている人がいるかもしれません。
それでも「自分だけが悪いことをしている」ような気持ちになりやすいのが、この活動の難しいところです。まずは、怖がっているのは自分だけではないと知ることから始めてもいいと思います。
在職中の転職活動は、法律上どう扱われるのか
ここで一度、法律上の考え方を整理しておきます。あくまで一般的な解釈で、個別の事情によって結論は変わります。不安が大きい場合は、労働局の相談窓口や弁護士など専門家に確認してください。
転職活動自体は自由とされている
日本国憲法第22条は、公共の福祉に反しない限り、職業を選ぶ自由を定めています。これを根拠に、勤務時間外に転職活動をすること自体は、労働者の自由だと考えられるのが一般的です。
有給休暇の理由を言う義務はない
労働基準法第39条では、使用者は労働者が請求した時季に有給休暇を与えなければならないとされています(事業の正常な運営を妨げる場合に、会社が時季を変更できる例外はあります)。取得理由を聞かれること自体は違法ではないとされますが、理由を言わなければ取得させないという扱いは問題があるとされています。「私用のため」とだけ伝えて差し支えない、という整理が一般的です。
同業他社への転職は、就業規則も確認しておく
労働者は、在職中は会社の利益を不当に害さないようにする義務(競業避止義務)を負うと考えられています。同業他社への転職準備がこれに触れるかどうかはケースバイケースで、断定はできません。心配な場合は、自分の会社の就業規則を一度確認しておくと安心です。
総じて言えるのは、「転職活動をしているだけで、すぐにクビになる」ということは一般的には考えにくい一方で、業務時間中の活動や社内の情報の持ち出しなど、就業規則に触れる行動があれば話は別になる、ということです。
在職中の転職活動がバレる3つのルート
在職中の転職活動がバレるきっかけは、大きく3つに分けられます。どれも、自分では気づかないうちに起きがちなものです。先に知っておくだけでも、防ぎやすくなります。
- デジタルの痕跡:会社のパソコンで転職サイトを見る、会社のメールアドレスでエージェントとやり取りする
- 普段の行動の変化:不自然な休みの取り方、服装や態度の変化、スマホを見る頻度が増える
- 人づての情報:仲のいい同僚にうっかり話してしまう、転職サイトの登録情報を知り合いの会社に見られる
私が怖かった「休みの取り方」と「面接の行き帰り」は、2番目のルートです。次の章で、ルートごとの具体的な対策をまとめます。
バレにくくするための具体的な対策
有給休暇の取り方
有給休暇は、理由を言わずに取得できるのが原則です。それでも私は毎回、申請のたびに「何に使うのか聞かれたらどうしよう」と緊張していました。実際には「私用のため」とだけ伝えて通ったことがほとんどです。聞かれても詳しく答える義務はないので、無理に説明しなくて大丈夫です。
面接の行き帰りは、リスクを完全にゼロにする方法はありません。それでも、職場の最寄り駅や会社の人がよく使う場所を避ける、着替えが必要なら職場から離れた場所で済ませる、といった工夫で、見られる可能性は下げられます。「見られる可能性が高い場所を避ける」と意識するだけでも、気持ちはだいぶ楽になるはずです。
オンライン面接に対応している企業も多いので、自宅から受けられるかどうかを最初に確認しておくのも一つの方法です。
デジタルの痕跡を減らす
会社から支給されたパソコンやスマホで転職サイトを見たり、会社のメールアドレスでエージェントとやり取りしたりするのは避けたほうが無難です。会社の情報システム部門が、業務用の端末の閲覧履歴やメールを確認できる場合があります。転職活動は、私用のスマホやパソコンから、個人のメールアドレスで行うのが基本です。
転職サイトの「企業ブロック」機能を使う
スカウト機能がある転職サイトの多くには、今の勤務先や関連会社に自分の登録情報が見られないようにする機能があります。
- doda:「企業ブロック設定」で、現職や取引先など、見られたくない企業を指定できます。
- ビズリーチ:企業やヘッドハンターに公開されるのは、氏名や連絡先を伏せた職務経歴書で、企業単位やヘッドハンター単位でブロックすることもできます。
ほかのサービスを使う場合も、登録したらまずヘルプページで同じような機能がないか確認してください。ただし、設定すれば完全に安全というわけではありません。職務経歴書の内容が具体的すぎると、文面から本人だと分かってしまうこともあります。あくまで「見られる可能性を下げる」ための仕組みだと考えて、過信しないようにしてください。
LinkedInを使うなら公開範囲を見直す
LinkedInで転職を考えていることを示す「Open to Work」を使う場合、公開範囲を「採用担当者のみ」にすると、今の勤務先の採用担当者には表示しないように配慮される仕組みになっています。ただし、LinkedIn自身も完全には保証できないとしています。公開範囲を「すべてのLinkedInメンバー」にしていると、同僚やつながりのある人にも見えてしまうので、設定を一度見直しておくことをおすすめします。
話す相手は、内定が出るまで増やさない
仲のいい同僚でも、内定が出て退職を決めるまでは話さないほうが安全です。悪気がなくても、話はどこかで広がることがあります。相談したいときは、社外の友人や家族、転職エージェントなど、職場とつながりのない相手を選んでください。
よくある不安とその答え
Q. 有給休暇の理由を聞かれたら、何と答えればいいですか
「私用のため」で問題ないとされています。会社が理由を確認すること自体は違法ではありませんが、理由を言わなければ取得させないという扱いは問題があるとされます。無理に詳しく話す必要はありません。
Q. 転職サイトに登録しただけでバレることはありますか
企業ブロックの機能を使えば、登録しただけでバレる可能性は低くなります。ただし、会社のパソコンや社内のネットワークから閲覧すると、履歴から気づかれるリスクが残ります。私用の端末から利用してください。
Q. もし会社にバレたら、クビになりますか
在職中の転職活動そのものを理由にした解雇が認められるとは、一般的には考えにくいとされています。ただ、業務時間中の活動や情報の持ち出しなど、就業規則に違反する行動があれば話は別です。不安が強い場合は、総合労働相談コーナーなどの公的な窓口や弁護士に、早めに相談しておくと安心です。
まとめ:「バレない」より「決める」ことから
バレない工夫は、あくまで安心して動くための手段です。本当に大事なのは、どこへ向かうかを自分で決めることだと思います。
私も在職中に動いたときは、毎回「バレたらどうしよう」という不安でいっぱいでした。それでも、少しずつ動き続けて、次の仕事にたどり着いてきました。
一人で情報を集めて動くのが不安なら、転職エージェントに相談してみるのも一つの手です。応募先とのやり取りや面接の日程調整を任せられるので、在職中の負担を減らせますし、何より「一人で抱え込まなくていい」という安心感があります。私が30代で未経験の仕事に転職したときに準備したことは、こちらにまとめています。
辞めた後にどんな選択肢があるのかを先に知っておきたい方は、こちらも参考にしてください。
焦らず、でも止まらずに。あなたのペースで、次の一歩を進めてみてください。
この記事は、運営者ポン太の実体験をもとに書いています。法律や制度に関する内容は執筆時点の情報であり、個別のケースについては専門家や公的機関にご確認ください。また、当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。
