看護師を辞めたい・夜勤が限界な人へ|15〜20時間拘束のリアルと、病院を変える/辞める判断基準

夜勤がつらくて辞めたい看護師に向けた、夜勤の仕組みと続ける・辞める判断基準の解説

夜勤明けの体がだるくて、起き上がるのもつらい。次の勤務のことを考えると、休みの日なのに気持ちが休まらない。「辞めたい」と頭では分かっているのに、人手不足の病棟を見ると言い出せない。そんな状態が続いていませんか。

私は看護師ではありません。けれど、20代後半に運送業でトラックの運転手をしていた頃、繁忙期には50連勤ほど続けたことがあります。家に帰れず、会社やトラックの中で寝た夜もありました。サービス残業も当たり前の職場でした。

そんな中で、居眠りで事故を起こしかけた同僚を見ました。このまま続けていたら、自分もいつか事故を起こすかもしれない。そう思うと怖くなり、辞めることを決めました。

看護師の16時間夜勤も、仕事の中身は違っても、「体が限界に近いまま、人の命や安全に関わる仕事を続けている」という点では重なるところがあると感じます。

この記事では、看護師の夜勤がなぜこんなに長くなるのかという仕組みと、「辞めたい」と感じるのは自分だけなのかという実態データ、そして今の職場で続けるべきか、病院を変えるべきか、辞めるべきかの判断基準を整理します。

目次

看護師の「辞めたい」は、あなただけじゃない

まず知ってほしいのは、「辞めたい」と思っているのはあなた一人ではない、ということです。

日本医療労働組合連合会などが2022年に行った「看護職員の労働実態調査」(約3万6,000人が回答)では、仕事を辞めたいと思うかという問いに、「いつも思う」が24.0%、「ときどき思う」が55.2%で、合わせて79.2%の看護職員が、辞めたいと思いながら働いているという結果が出ています。

一方で、実際に辞めている人の割合(離職率)は、そこまで高いわけではありません。日本看護協会の「2025年病院看護実態調査」によると、2024年度の正規雇用看護職員の離職率は11.0%で、前年度より0.3ポイント下がっています。

つまり、「辞めたい」と感じている人は8割近くいるのに、実際に辞める人は1割ほど。多くの人が「辞めたい気持ち」を抱えたまま働き続けているということです。これは、あなたの我慢が足りないからではなく、それだけこの仕事が「辞めたくても辞めにくい」構造になっている、という裏返しでもあります。

同じ調査で、新卒で採用された人の離職率は8.4%、既卒で採用された人は16.1%でした。一度ほかの職場を経験した人のほうが、合わない職場に見切りをつけるのが早い、とも読み取れます。

なぜ看護師の夜勤はこんなに長いのか|16時間夜勤のからくり

「夜勤がつらい」というとき、多くの場合その正体は「2交代制の長時間拘束」です。

2交代制(日勤と夜勤の2つに分ける働き方)では、夜勤1回あたりの拘束時間が16時間前後(休憩・仮眠を含む)になることが多く、月の夜勤回数は4回程度です。一方、3交代制(日勤・準夜勤・深夜勤の3つに分ける働き方)では、1回あたりは約8時間ですが、月の夜勤回数は8回前後に増えます。

日本医療労働組合連合会の「2025年度夜勤実態調査」(2025年6月の勤務実績、看護職員約9万人分)では、2交代制の病棟の割合が54.8%で過去最高を更新しました。2交代制の職場のうち、16時間以上の夜勤がある病棟は47.5%と、5割近くにのぼります。日本看護協会の2025年の調査でも、看護職員の25.2%が16時間以上の2交代制夜勤をしていると答えています。あなたの「夜勤がきつい」という感覚は、数字の裏付けがある、全国に共通した現実です。

なぜこんな長時間勤務が認められているのか

ここは誤解されやすい部分なので、少し丁寧に説明します。

労働基準法は原則として1日8時間労働を定めていますが、第32条の2で「1か月単位の変形労働時間制」を認めています。就業規則などで定めれば、1か月以内の期間を平均して週40時間を超えない範囲で、特定の日に8時間を超えて働かせることができる、という仕組みです。16時間夜勤は、この制度を前提に組まれています。

また、労働基準法の休憩のルール(第34条)は、8時間を超えて働く場合に少なくとも1時間の休憩を与えることを求めていますが、それより長い勤務でも、休憩をさらに増やす決まりはありません。そのため、16時間夜勤でも、休憩が合計1時間あれば、それだけで法律違反とは言えないのが一般的です(実際の運用が適切かどうかは病院ごとに違うため、気になる場合は労働局の窓口などに相談してください)。

時間外労働の上限については、2024年4月から医師に特別な上限(一般の医師は年960時間、一部の医療機関では年1,860時間まで)が設けられましたが、看護師にこうした特例はなく、一般の労働者と同じ上限が適用されます。

「夜勤72時間ルール」は、あなた個人を守るルールではない

「うちの病院は72時間ルールを守っているから大丈夫」と聞いたことがあるかもしれません。これは診療報酬の「入院基本料」を算定するための施設基準で、病棟の看護職員の月平均夜勤時間数を72時間以下に収めることを病院に求めるものです。

ここで注意したいのは、これは病棟全体の「平均」であって、あなた個人の上限ではないということです。夜勤の時間が月に一定以下の職員は計算から外れるなど、計算のしかたによっては、特定の人に夜勤が偏っても、病棟の平均さえ72時間以下に収まっていれば基準を満たしてしまいます。実際、日本看護協会の2025年の調査では、一般病棟で夜勤時間が月72時間を超える夜勤者は33.9%でした。「ルールを守っている病院」でも、あなた一人は72時間を超えて働いている、ということが普通に起こり得る仕組みなのです。

一方、日本看護協会の「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」では、勤務と勤務の間隔は11時間以上、勤務の拘束時間は13時間以内、夜勤回数は3交代制で月8回以内を目安とする、といった基準が示されています。ただし、これはあくまで推奨で、法律のような強制力はありません。あなたの職場の夜勤がこの目安を大きく超えているなら、それは「あなたが弱いから」ではなく「職場の設計がそもそも厳しい」と考えていい材料です。

辞めたい理由の実態|人手不足・賃金・休暇

先ほど紹介した日本医療労働組合連合会の2022年の調査では、辞めたいと思う理由(3つまで選択)の上位は次のとおりでした。

  • 人手不足で仕事がきつい:58.1%
  • 賃金が安い:42.6%
  • 思うように休暇が取れない:32.6%

1位の「人手不足で仕事がきつい」が、ほかを大きく引き離しています。夜勤そのものよりも、その夜勤を支える人数が足りていない、という構造的な問題が、現場の疲れの根っこにあるのだと思います。

新卒の看護師に限ると、また違う傾向もあります。日本看護協会の2025年の調査で、新卒看護師の主な退職理由を看護管理者に聞いたところ、「健康上の理由(精神的疾患)」が54.6%で最も多く、「自分の看護職員としての適性への不安」(46.6%)、「自分の看護実践能力への不安」(44.2%)が続きました。新人の時期は、体力的なつらさ以上に、「自分にはこの仕事は向いていないのではないか」という心の消耗が、離職のきっかけになりやすいことが分かります。

病院の種類によっても差があります。同じ調査で、正規雇用看護職員の離職率は、医療生協が14.4%、医療法人が14.0%と高く、公立は8.0%でした。病床の規模別では、99床以下が13.1%、100〜199床が12.6%と小さい病院ほど高く、500床以上は10.0%です。規模が小さい病院ほど一人あたりの負担が集中しやすく、カバーし合う余力が少ない、という構造を示しているとも読めます。

今のつらさが、あなた個人の適性の問題なのか、それとも職場の人員配置や規模の問題なのか。一度、切り分けて考えてみる価値はあります。

続ける・異動する・辞める、判断の分かれ目

「辞めたい」と感じたときの選択肢は、いきなり退職届を出すか、我慢して働き続けるかの二択ではありません。間には「同じ病院の中で部署の異動を相談する」「病院そのものを変える」という選択肢もあります。

判断の目安として、次のような問いを自分に投げてみてください。

体に症状が出ていないか
夜勤明けに眠れない、食欲がない、動悸がする、涙が止まらない。こうした状態が続いているなら、「辞める・続ける」を決めるより先に、体を休めることと、医療機関や相談窓口に相談することを優先してください。これは甘えではなく、安全のための判断です。

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つらさの原因が、今の病院にあるのか、看護師という仕事そのものにあるのか
人間関係や特定の上司とのトラブルが主な原因なら、病院を変えることで良くなる可能性があります。一方、夜勤そのものや、体を使う処置の負担、命に関わる責任の重さそのものがつらいのであれば、同じような急性期の病棟に移っても、同じ壁にぶつかるかもしれません。クリニック、訪問看護、健診センター、企業の健康管理室など、夜勤がない・少ない働き方に目を向ける余地があります。

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良くなる見込みがあるかどうか
人手不足は、病院が採用を増やさない限り、個人の頑張りでは解消しません。「あと少し我慢すれば人が増える」という見通しが具体的にあるのか、それとも「ずっとこのままかもしれない」と感じるのか。ここが、続けるか動くかの大きな分かれ目になります。

私がトラックの運転手を辞めたのは、居眠りで事故を起こしかけた同僚を見て、事故が怖くなったからでした。疲れが限界に近い状態は、本人の気合いだけではどうにもなりません。頑張れば何とかなる状態と、頑張っても仕組みとして無理な状態は違います。後者だと感じたら、それは逃げではなく、見切りをつけるタイミングです。

どうしても言い出せない時の最終手段

辞める決断ができても、「人手不足の病棟に、これ以上迷惑をかけられない」「師長に言い出すのが怖い」という壁にぶつかる人は少なくありません。

まず知っておいてほしいのは、民法627条により、期間の定めのない雇用契約は、原則として退職の意思を伝えてから2週間で終了するということです(就業規則や契約の内容によって扱いが変わる場合もあるので、詳しくは労働局の窓口などで確認してください)。「辞めさせてもらえない」という状況は、法律上は本来、そのまま続くものではありません。

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それでもどうしても自分の口から言い出せない、何度言っても引き止められて話が進まない、という場合には、退職代行サービスという選択肢があります。

ただし、退職代行は運営元によって、できることに大きな差があります。

  • 民間企業が運営するもの:退職の意思を伝えるだけで、有給消化や退職日の交渉はできません
  • 労働組合が運営するもの:団体交渉権にもとづき、有給消化や退職日の調整などの交渉ができます
  • 弁護士が運営するもの:未払い残業代の請求や、損害賠償をほのめかされた場合の法的な対応まで任せられます

看護師の退職は、人員配置の都合から引き止めが強くなりやすい仕事のひとつです。利用を考える場合は、交渉ができない民間業者ではなく、労働組合か弁護士が運営するサービスを選んでください。

関連記事:退職代行、失敗しない選び方|料金と運営元で比較

辞めた後の現実|看護師の転職市場は本当に売り手市場か

「辞めたくても、次の仕事があるか不安」という声もよく聞きます。結論から言うと、看護職の転職市場は、ほかの職種と比べて動きやすい状況にあります。

ナースセンターの集計によると、2024年度の看護職の求人倍率は2.51倍で、2015年度以来の高い水準でした。施設の種類別では、訪問看護ステーションが4.54倍で最も高く、病院(20〜199床)が3.00倍、病院(200〜499床)が2.49倍、病院(500床以上)が1.93倍と続きます。小さめの病院や訪問看護のほうが、人をより強く求めている様子がうかがえます。

また、厚生労働省の看護職員需給分科会が2019年にまとめた推計では、2025年に看護職員が6万〜27万人ほど不足する可能性があるとされていました。高齢化が進むなかで、看護師という資格の需要が急になくなることは考えにくい状況です。

もちろん、求人倍率が高いことと、あなたの希望に合う職場がすぐ見つかることは、イコールではありません。夜勤なしを望むのか、給与を優先するのか、働き方の軸を一度整理したうえで、看護師専門の転職エージェントなども使いながら情報を集めることをおすすめします。

関連記事:在職中の転職活動が会社にバレない進め方|今日からできる具体策

よくある疑問・Q&A

Q. 人手不足の病棟を見捨てるようで、辞めると言い出せません。

その気持ちは、責任感の強さの表れです。ただ、人手不足は本来、病院が採用や配置で解決すべき経営の課題であって、一人の看護師が心身を削って埋め続けるべきものではありません。あなたが倒れてしまえば、結局は病棟にとっても大きな穴になります。

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Q. 夜勤がつらいだけで辞めるのは甘えでしょうか。

ここまで見てきたように、16時間前後の夜勤は多くの病院で当たり前になっていて、日本看護協会のガイドラインが目安とする「拘束13時間以内」を超えています。体力や生活リズムへの負担は、甘えではなく、働き方の仕組みから来るつらさです。

Q. 病院を変えても、結局同じことの繰り返しになりませんか。

人間関係が主な原因なら、病院を変えることで状況が大きく良くなる可能性があります。一方、夜勤そのものや急性期の責任の重さがつらいなら、クリニックや訪問看護、健診センターなど、働き方そのものが違う職場を検討する価値があります。「夜勤そのものがつらいのか」「今の人間関係がつらいのか」を分けて言葉にしてみるだけで、進む方向はだいぶ変わってきます。

Q. 転職活動は、今の職場を辞めてからのほうがいいですか。

収入が途切れる不安があるなら、在職しながら情報収集だけでも始めておくことをおすすめします。看護師の資格があれば選べる職場の幅は比較的広いので、並行して動きながら判断材料を増やすほうが、心の余裕にもつながりやすいはずです。ただし、心身の負担がすでに大きい状態なら、無理に転職活動を急がず、まずは体を休めることを優先してください。

まとめ|まずは、今の状態を誰かに話すことから

ここまで、看護師の夜勤がなぜ長くなりやすいのかという仕組みと、「辞めたい」と感じている人がとても多いという実態、そして続ける・異動する・辞めるを見極めるための判断材料を見てきました。

16時間の夜勤も、月72時間というルールも、あなた一人を守るために作られた仕組みではありません。むしろ、その仕組みのすき間で、特定の人に負担が偏ってしまうことが普通に起こり得ます。だからこそ、「つらい」と感じているのは、あなたの我慢が足りないからではなく、その働き方自体に無理がある、というだけの話なのだと思います。

もし今、眠れない・食欲がない・涙が止まらないといった症状が出ているなら、辞める・続けるを決める前に、まず休むこと、そして医療機関や職場の相談窓口、労働局の相談窓口などに話を聞いてもらうことを優先してください。一人で抱え込まずに今の状態を言葉にするだけで、見える選択肢が増えることがあります。

そのうえで、人間関係が原因なら病院を変える、夜勤そのものや急性期の責任の重さが原因なら働き方自体が違う職場を探す、というように、つらさの正体に合わせて動く先を選んでみてください。看護職の求人はほかの職種と比べて多いので、今の職場だけがすべてではありません。

そして、どうしても自分の口から言い出せない、何度話しても引き止められる、という状況が続くなら、労働組合や弁護士が運営する退職代行という手段も残っています。それは逃げではなく、自分の心と体を守るための、正当な選択肢のひとつです。


この記事は、運営者ポン太の実体験をもとに書いています。法律や制度に関する内容は執筆時点の情報であり、個別のケースについては専門家や公的機関にご確認ください。また、当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

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この記事を書いた人

やめどき研究所 運営者。HSP・内向型の40代。不動産営業・運送・自動車工場など7回の転職を経験。3年前に適応障害の診断を受け、無理して合わせない働き方を模索中。「辞めたいのに辞められない人」の最初の一歩を応援します。

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