退職代行の2割超が1年で停止か|撤退が続く今、失敗しない業者の見極め方

退職代行業者の撤退が続く中で、失敗しない業者の見極め方を解説する記事

「辞めたい」と決めたのに、業者選びでまた不安になっていませんか

ようやく「辞める」と決めた。あとは退職代行に頼むだけ。そう思ってスマホで検索した瞬間、目に入ってくるのが「退職代行、相次ぐサービス停止」「業者が破産」といったニュースの見出しだったりします。

せっかく覚悟を決めたのに、また新しい不安が増える。私も似たような経験があります。

退職代行というサービスを知ったのは、私の場合5〜6年前のことでした。ニュースだったか、SNSの広告だったか、はっきりとは覚えていません。ただ「こんな仕組みがあるのか」と驚いたのを覚えています。当時はまだ、退職代行という言葉自体が新しいものでした。

それから数年で、状況は大きく変わりました。急に広がった業界で、今度はサービスをやめる業者が相次いでいます。

この記事では、なぜ今こんなことが起きているのか、そして「これから頼むなら、どんな業者を避け、どんな業者を選べばいいのか」を、確認できた事実をもとに整理します。不安なまま業者を選んで、二重に損をすることがないように書いています。

目次

主要な退職代行事業者の2割超が、この1年でサービス停止の可能性

まず、今起きていることを共有しておきます。

帝国データバンクが2026年9月23日に発表した調査によると、2025年10月時点でサービスを確認できた主要な退職代行事業者52社のうち、14事業者(26.9%)がこの1年間でサービスを停止した可能性があることが分かりました。4社に1社を超える割合です。

停止が確認された14事業者のうち、10事業者は民間企業の経営でした。

実際に破産に至ったケースもあります。東京都目黒区の「(株)スマートヤメマス」は、2026年3月25日に東京地裁から破産開始決定を受けました(東京商工リサーチの報道。負債は約500万円)。弁護士監修をうたい、積極的な広告で事業拡大を図っていましたが、同業者の参入が相次いで競争が激しくなったと報じられています。

「弁護士監修」を掲げていても、会社の経営が続かなければサービスは終わってしまいます。料金や広告の見た目だけで業者を決めることの危うさが、よく分かる例だと思います。

なぜ撤退が増えているのか。帝国データバンクは、新規参入が相次いだことによる価格競争に加えて、会社との「交渉」が弁護士資格のない業者にとって非弁行為とみなされるリスクなど、業務の「グレーゾーン」を背景に挙げています。

大手業者の運営会社の代表者らが弁護士法違反で摘発され、2026年8月に有罪判決を受けたことも、業界に影響を与えたと指摘されています。この事件と、弁護士・労働組合・民間の違いについては、別の記事で詳しくまとめています。

関連記事:大手退職代行業者の弁護士法違反事件でわかった落とし穴

料金にも変化が出ています。帝国データバンクによると、主要な退職代行サービスの平均料金は、2025年時点の約2.8万円から、直近では約2.7万円へとやや下がっています。安さだけを基準に選ぶと、経営の土台が弱い業者に当たるリスクも上がっている、という見方もできそうです。

そもそも「非弁行為」って何が問題なのか

ニュースでよく出てくる「非弁行為」という言葉、よく分からないという方も多いと思います。少しだけかみ砕いておきます。

根拠になっているのは弁護士法72条です。ざっくり言うと「弁護士ではない人や会社は、報酬をもらって他人の代わりに法律的な交渉をしてはいけない」というルールです。違反した場合の罰則は、弁護士法77条で「2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」と定められています。(2025年6月1日から、刑法の改正で「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」にまとめられています。)

退職代行に当てはめると、「会社に退職の意思を伝えるだけ」なら民間業者でも問題ないとされる一方で、有給を何日消化するか、退職日をいつにするか、未払いの残業代をどうするか、といった会社との交渉まで踏み込むと、弁護士法72条に違反するおそれがあるとされています。

東京弁護士会も2025年10月に注意喚起を出し、弁護士でない者が法律的な問題について本人を代理して相手方と話をすることは非弁行為にあたる、と呼びかけています。

一方、労働組合が運営する退職代行は、団体交渉権を根拠に、有給消化や退職日の調整にも対応できるとされています。ただし東京弁護士会は、労働組合とは名ばかりで実態が伴っていない団体と提携している業者があることにも注意を促しています。「労働組合だから、それだけで安心」とは言い切れない、というのが今の状況です。

このあたりは法律の専門的な判断が必要な部分なので、この記事では「これなら合法」「ここなら安全」といった言い切りはしません。実際に相談する業者に、運営形態と対応できる範囲を確認してみてください。

撤退が続く中で、業者を見極める6つのチェックポイント

ここからが本題です。「どの業者なら大丈夫か」を言い切ることはできませんが、少なくとも「危うい業者」を避けるためのチェックポイントは整理できます。

① 運営元の情報がはっきり公開されているか

会社名、所在地、代表者名、運営形態。こうした基本情報がサイト上ではっきり確認できるかどうかは、最初の足切りラインです。情報がぼかされていたり、SNSのアカウントしか実態が見えなかったりする業者には注意してください。

ただし、スマートヤメマスのように会社の情報がはっきりしていても、経営が続かないことはあります。これはあくまで最低限の確認だと考えてください。

② 運営形態が「弁護士法人」か「労働組合」か

非弁行為のリスクを考えると、有給消化や退職日の交渉が必要になりそうな状況なら、民間の株式会社よりも、弁護士法人か労働組合が運営する業者を選ぶほうが、リスクは相対的に小さくなります。

「名前だけでは、どこが弁護士運営で、どこが労働組合運営なのか分からない」という方のために、運営形態を確認した業者だけをまとめた比較記事を用意しています。業者を一つずつ調べる時間がない場合は、そちらを先に見ていただくほうが早いかもしれません。

関連記事:退職代行、失敗しない選び方|料金と運営元で比較

③ 申し込み前の質問への「返事」を見る

これは私自身の別の経験から強く感じていることです。私はこれまで7回転職していますが、転職エージェントを選ぶときに、こちらの質問への返事が遅い、あるいは返事そのものが来ない会社に何度か当たりました。そのたびに「この先、本当に頼れるのか」と不安になり、結局そうした会社は使わなくなりました。

退職代行も同じだと思います。人生で一番言いにくいことを任せる相手が、申し込み前の段階で返事が遅かったり、質問への答えがあいまいだったりするなら、人手が足りていない、あるいは対応が雑なサインかもしれません。申し込む前に一度質問を送ってみて、返事の早さと丁寧さを見てみてください。

④ 料金の内訳が分かりやすいか

「即日対応」「後払いOK」といった打ち出しは魅力的に見えますが、後払いには別に手数料がかかる場合があります。表示されている金額が「基本料金だけ」なのか「追加費用を含めた総額」なのかも、業者によって書き方がかなり違います。

申し込みボタンを押す前に、料金ページを最後まで読んでおくことをおすすめします。「思っていたより高かった」と分かってから、さらに問い合わせる気力を使うのは、しんどいはずです。

⑤ 口コミの「不自然さ」にも目を配る

高評価の口コミばかりが並んでいるページより、良い点も気になる点も両方書かれている口コミのほうが、私はむしろ信用できると感じています。投稿日が同じ時期に集中している、文章の雰囲気が似すぎている、といった不自然さがあれば、少し立ち止まって考えたほうがいいかもしれません。

⑥ サイトやSNSの更新が「今も続いているか」

サービスをやめる業者が、必ずしも目立つ告知を出すとは限りません。申し込む直前に、公式サイトのお知らせや公式SNSの更新日を確認し、最近まで動きがあるかを見ておくと、「依頼したのに連絡が取れない」という事態を避けやすくなります。

何を頼みたいかで、選ぶべき業者は変わる

チェックポイントに加えて、もう一つ大事な視点があります。それは「自分が退職代行に何を頼みたいのか」を先にはっきりさせておくことです。

たとえば、

  • 「とにかく会社に『辞めます』と伝えてほしいだけ」
  • 「有給を全部消化してから辞めたい」
  • 「未払いの残業代やボーナスの扱いについても話し合ってほしい」

この3つは、法律的な意味合いがまったく違います。退職の意思を伝えるだけなら民間業者でも対応できるとされていますが、有給消化の調整や未払い賃金の交渉になると、弁護士法人か労働組合運営の業者でなければ、非弁行為とみなされるリスクが指摘されています。

「とりあえず一番安いところでいいや」と決める前に、自分が本当に何を望んでいるのかを一度紙に書き出してみると、業者選びの軸がはっきりします。私も転職のたびに、条件を整理してから動くようにしていました。気持ちが高ぶっているときほど、一度立ち止まって「何がほしいのか」を言葉にしておくと、後から後悔しにくくなると感じています。

希望が固まったら、あとは条件に合う弁護士運営・労働組合運営の業者を絞り込むだけです。

運営元で比べた一覧は、こちらにまとめています。

関連記事:退職代行、失敗しない選び方|料金と運営元で比較

判断に迷ったら、無料で相談できる窓口もある

業者のサイトだけを見て、「弁護士運営か労働組合運営か」「非弁行為にあたらないか」を完全に見極めるのは簡単ではありません。迷う場合は、業者を選ぶ前に、次のような公的な窓口に相談するという選択肢もあります。

  • 総合労働相談コーナー(労働局・労働基準監督署):退職や労働条件に関するトラブル全般を、無料で相談できます。
  • 法テラス(日本司法支援センター):収入などの条件を満たせば、弁護士に無料で相談できる制度があります。
  • 弁護士会の法律相談:各地の弁護士会でも、労働問題の相談を受け付けています。

こうした窓口で一度話を聞いてもらうと、自分のケースにそもそも交渉が必要なのかどうかを整理する助けになります。急いで決めなくていい場面も、実はあるかもしれません。

よくある不安・Q&A

Q. 依頼している途中で、業者がサービスをやめてしまったらどうなりますか?

対応の途中で業者が事業を止めてしまうと、支払ったお金が戻ってこない、対応が中途半端なまま止まる、といったリスクが考えられます。申し込む前に、返金保証の条件や、対応が止まった場合の取り決めがどうなっているかを確認しておくと安心材料になります。

Q. すでに民間の業者に申し込んでしまいました。今からでも見直したほうがいいですか?

状況によります。退職の意思を伝えてもらうだけの依頼なら、そのまま進めても大きな問題にならないケースも多いようです。一方で、有給消化や未払い賃金の交渉まで期待している場合は、その業者が実際にどこまで対応できるのか、契約内容を確認し直すことをおすすめします。不安であれば、労働局の相談コーナーや法テラスに相談してみるのも一つの方法です。

Q. 安い業者と高い業者、結局何が違うのですか?

料金の差が、そのままサービスの質の差とは限りません。ただ、価格競争が激しくなっているのは事実です。安さの裏に、運営体制の薄さや対応範囲の狭さが隠れていることもあれば、単に広告費をかけていないだけのこともあります。金額だけでなく、運営元の分かりやすさや対応の丁寧さも合わせて見てください。

まずは「誰に何を頼みたいか」を、自分の言葉で整理することから

退職代行のサービス停止が相次いでいるというニュースは、不安をあおる材料に見えるかもしれません。でも見方を変えれば、「なんとなく」で業者を選ぶ時代が終わりつつある、というサインでもあると思います。

運営元がはっきりしているか、弁護士法人か労働組合か、申し込み前の対応は丁寧か。こうした基本を一つずつ確かめていけば、危うい業者を避けられる可能性は上がります。

そして何より、「自分は何を望んでいるのか」を先に整理しておくこと。これができていれば、検討中に別の業者の撤退ニュースが飛び込んできても、慌てずに次の選択肢を考えられるはずです。

もし今、心も体も限界に近いなら、業者選びより先に、まず休むことや誰かに相談することを優先してください。辞めると決めたあなたの気持ちは、もう十分に固まっています。あとは、その気持ちを安心して任せられる相手を、焦らず選んでいってください。


この記事は、運営者ポン太の実体験をもとに書いています。法律や制度に関する内容は執筆時点の情報であり、個別のケースについては専門家や公的機関にご確認ください。また、当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

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この記事を書いた人

やめどき研究所 運営者。HSP・内向型の40代。不動産営業・運送・自動車工場など7回の転職を経験。3年前に適応障害の診断を受け、無理して合わせない働き方を模索中。「辞めたいのに辞められない人」の最初の一歩を応援します。

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