強制飲み会・アレルギー強要がつらい人へ|「付き合い」で心が折れる前の判断基準と辞め方

「付き合い」に、もう疲れた | やめどき研究所

強制飲み会・付き合いの断り方|「空気」で心が折れる前の判断基準と辞め方

「今日、飲み会だから」

その一言で、その日の予定も、体調も、気持ちも、全部後回しにしてきませんでしたか。

私は20代の頃、不動産業界で働いていました。営業職だったこともあり、飲み会は強制参加。断るという選択肢が、そもそも頭に浮かびませんでした。

体調を理由にお酒や飲み会を断ったことは、一度もありません。断ったら空気が悪くなる、評価が下がる、そんな気がして、いつも「大丈夫です」と言って参加していました。

ある時は、「付き合い」を優先した結果、二次会、三次会まで流れで参加してしまい、結局朝まで帰れなくなったことがあります。次の日は貴重な休日だったのに、体調を崩して一日中動けませんでした。あの休日は、もう戻ってきません。

もしあなたが今、「飲み会に行きたくない」「付き合いにもう限界」と感じているなら、それはあなたの我慢が足りないからではありません。この記事では、飲み会強制の何が問題なのか、法律的にどう考えられているのか、そして限界を感じたときにどう動けばいいのかを、私自身の失敗も含めてお伝えします。


目次

なぜ「たかが飲み会」がここまでつらいのか

まず知ってほしいのは、「飲み会がしんどい」と感じているのはあなただけではない、ということです。

すでに「不要」が多数派になっている

日本生命保険の調査では、「飲みニケーション」について「不要・どちらかといえば不要」と答えた人が2021年に61.9%にのぼり、2017年の調査開始以来はじめて「必要」派を上回りました。

不要と考える理由は「気を使う」37%、「仕事の延長と感じる」30%、「お酒が好きではない」22%。そして年代別に見ると、「20代まで」で不要と答えた人が66%と最も高くなっています。

2023年の調査でも「不要」との回答は55.2%と半数を超え、さらに約7割の人が「飲みニケーションがある職場で働きたくない」と答えています。

開催は減ったが、「断りにくさ」は変わっていない

ホットペッパーグルメ外食総研の2025年4月の調査(首都圏・関西圏・東海圏の20〜69歳の就業者が対象)では、職場の飲み会が開催された割合は2017年の約75%から2025年には約60%まで減少しています。忘年会の開催率は2016年の60.6%から2025年には35.3%まで下がり、「どれもない」という回答は25.1%から40.1%に増えました。

ところが、飲み会があった場合の出席率は87.9%と高い水準を保っています。つまり「開催されれば、ほぼ断れない」という構造は変わっていないのです。

同調査で挙げられたネガティブなイメージのトップは「気を使い、くつろげない」36.3%、次いで「かえってストレスがたまる」29.2%、「プライベートな時間が削られる」28.5%。一方でポジティブなイメージは、「普段会話しない人と会話できる」が2017年の36.2%から30.4%へ、「上司、同僚、部下の人物理解が進む」が28.2%から25.2%へと、ほとんどの項目で後退しています。

期待は下がり、負担感は変わらない。それでも開催されたら出席する。 あなたが感じている息苦しさは、統計的にも裏付けられた、多くの人が抱えている感覚だと言えます。

なお、この調査では20〜50代の女性でネガティブなイメージの数値が高く、男性より女性のほうがややネガティブな印象が優勢だという結果も出ています。


強制参加は「困った」で済む話ではない

ここからは少し硬い話になりますが、「自分が我慢すればいいだけ」と思い込まないために、知っておいてほしい内容です。断定はできない部分も多いので、「こういう考え方がある」という前提で読んでください。

パワハラの3要件にあてはまる可能性

パワーハラスメントは、労働施策総合推進法30条の2第1項で、①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるもの、と定義されています。

ここで重要なのは、「優越的な関係」は上司・部下の関係だけでなく、集団による働きかけで抵抗や拒絶が難しい状況も含まれるとされている点です。「みんな行くから」という同調圧力そのものが、この構造にあてはまる可能性があります。

弁護士の見解として、しつこく飲み会への参加を求める行為は「業務上必要な範囲を超えた言動」にあたるおそれがあり、そもそも強制参加の懇親会であれば業務時間とみなされる、という整理もあります。ただし、これは「必ずパワハラになる」という意味ではなく、あくまで3つの要件を総合的に見て判断されるものだと理解しておいてください。

アルハラという視点

アルコール・ハラスメント(アルハラ)について、NPO法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)は、飲酒の強要、イッキ飲ませ、意図的な酔いつぶし、そして「飲めない人への未配慮(アルコール以外の飲み物を用意しない、体質や体調を無視して飲酒を促す、飲めないことを侮辱するなど)」を、主要なアルハラの類型として挙げています。

お酒が飲めない体質の人、アレルギーで特定の料理が食べられない人、服薬中で飲酒を避けたい人。理由は何であれ、「飲めない・食べられない」と伝えているのに繰り返し無視される、笑いものにされるという状況は、健康や尊厳に関わる問題です。

これが続くなら、「そのうち慣れる」ものではなく、環境そのものを変える理由になり得ます。

悪質なケースでは刑事責任が問われることも

脅したり暴力的な態度で飲酒を強要した場合、強要罪(刑法223条)が成立する余地があるとされています。法定刑は2025年6月1日の刑法改正により「懲役」から「拘禁刑」という名称に変わり、3年以下の拘禁刑と定められています。また、酔いつぶすことを目的に飲ませて急性アルコール中毒などを引き起こした場合には、傷害罪(刑法204条)にあたり得るという解説もあります。

ただし、これは脅迫や暴行を伴うような、かなり悪質なケースの話です。「空気で断りづらい」という程度では、法的な「強要」の要件を満たすとは限りません。あくまで「限度を超えるとこうなり得る」という参考情報として捉えてください。

実際の裁判例でも、体調不良を訴えているのに運転を強要した上司の行為が違法とされたケースや、執拗に飲酒を要求し嘔吐した相手に対してさらに飲酒を迫った行為について、会社と上司に150万円の支払いが命じられたケースなどが報告されています。これらはあくまで個別の事案に対する判断であり、「同じ状況なら必ず慰謝料が取れる」という話ではありませんが、「行き過ぎた飲酒強要は違法と判断され得る」という一つの目安にはなります。

「強制参加=労災」ではない、という現実

もし飲み会中や帰り道で事故やケガがあった場合、労災として認められるかどうかは、①事業主の支配下にある状態で起きたか(業務遂行性)、②業務との関連性があるか(業務起因性)、という2つの要件で判断されます。

強制参加かどうかは大きな判断材料になりますが、裁判例の中には、全員参加・会社負担であっても「従業員の慰安・親睦が目的で、業務との関連は薄い」として労災が認められなかったケースもあります。「強制だったから絶対に労災になる」とは言い切れない、というのが実情です。


角が立たない断り方と、参加する場合の身の守り方

法律の話をしましたが、いきなり「これはパワハラです」と会社に言うのは現実的ではないですよね。まずは、日々の中でできることから考えてみましょう。

断るときの考え方

理由を詳しく説明する必要はありません。「体調があまり良くなくて」「その日は先約があって」「最近ちょっと控えていて」くらいで十分です。大事なのは、感謝と一緒に伝えることです。「誘ってもらえて嬉しいです、ただ今回は難しくて」という形にすると、角が立ちにくくなります。

私は当時、これができませんでした。断る理由を探すこと自体が怖くて、「行きます」と即答してしまう癖がついていたのです。今振り返ると、体調を理由にすることは、わがままではなく、正当な自己防衛だったのだと思います。

どうしても参加せざるを得ないとき

すべての誘いを断れるわけではないと思います。参加する場合は、あらかじめ「今日は〇時に帰ります」と伝えておく、ソフトドリンクを頼む、無理して二次会・三次会まで流れない、といった小さな線引きが自分を守ります。

私が朝まで付き合って体調を崩した経験からはっきり言えるのは、「その場の空気」を優先した先にあるのは、たいてい翌日の自分の消耗だけだということです。一次会で切り上げても、関係が壊れることはほとんどありません。

体質や体調を伝えても変わらない場合

一度や二度なら、伝え方が悪かったのかもしれません。でも、繰り返し伝えているのに配慮がなく、笑いものにされたり、無理に勧められたりする状況が続くなら、それは「その職場の体質」だと考えたほうがいいかもしれません。人は簡単には変わりませんし、組織文化はもっと変わりません。

職場の人間関係そのものが限界に来ていると感じるなら、こちらの記事も参考になるかもしれません。

関連記事:「仕事は好きなのに『あの人』が限界で辞めたい|人間関係だけで辞めていい理由」


会社に直接言えないとき

「断り方を工夫しても変わらない」「もう会社に行くこと自体がつらい」というところまで来てしまった場合、退職という選択肢も現実的に考えていいと思います。

ただし、直属の上司に言い出せない、辞めると言ったら何をされるか分からない、という状況の人もいるでしょう。そういうときの手段として「退職代行」がありますが、利用する場合は運営元をよく確認してください。

弁護士が運営しているか、労働組合が運営しているサービスであれば、未払い賃金の交渉や有給消化の調整なども対応してもらえる可能性があります。それ以外の民間業者は、法律上できることに制限があり、トラブルになるケースも報告されています。

関連記事:「【業者比較】退職代行の評判・口コミ|料金と運営元で選ぶ失敗しない選び方」

なお、心身がすでに限界に近いと感じている場合は、退職の手続きより先に、心療内科や地域の相談窓口、総合労働相談コーナー(無料)などに相談することも選択肢に入れてください。辞めることも、休むことも、どちらも「逃げ」ではなく、自分を守るための行動です。


よくある不安・Q&A

Q. 飲み会を断ったら、評価が下がりそうで怖いです。

実際に業務評価に飲み会参加を反映させることは、本来の人事評価としては不適切とされています。とはいえ、職場によっては暗黙のうちに影響が出ることもあるかもしれません。その場合は、「業務では信頼を積み重ねる」「プライベートでの付き合いは選ぶ」という切り分けを意識してみてください。

Q. 体質やアレルギーを伝えても、毎回「少しくらい平気でしょ」と言われます。

それが一度きりではなく繰り返されているなら、伝え方の問題ではなく、相手(あるいは職場)側の理解不足の可能性が高いです。信頼できる先輩や人事、あるいは社外の相談窓口に、記録(いつ・どんな発言があったか)を残しながら相談することをおすすめします。

Q. 飲み会が理由で辞めるなんて、甘えだと思われませんか。

飲み会そのものというより、「断る権利を尊重してもらえない環境」に限界を感じているのだと思います。データを見ても、20代では66%が飲みニケーションを不要と考え、約7割が「飲みニケーションがある職場で働きたくない」と答えています。あなたの感覚は少数派ではありません。

転職の際は、「勤務時間外の拘束が多く、プライベートとの両立が難しかった」というように、事実ベースで伝えれば十分に理解される理由です。

Q. 上司に「辞めます」と言い出せません。

その怖さは、私も何度転職しても慣れませんでした。切り出し方については、こちらの記事でまとめています。

関連記事:「退職を言い出せない・怖いときの対処法|20代の私が『嘘』で逃げた話」


まとめ:「行きたくない」と思った自分を、まず肯定してほしい

飲み会の強制、アルハラ、体質への無配慮。これらは「慣れの問題」ではなく、環境の問題であることが多いです。

私は20代の頃、断ることを知らず、体調を崩してまで「付き合い」を優先してしまいました。今振り返れば、あの一度の無理は、何かを得るためではなく、ただ空気を壊さないためだけのものでした。

まずは、小さな断り方から試してみてください。それでも変わらない、むしろ悪化するという場合は、相談窓口を頼ること、そして最終的には環境を変えること、そのどちらも十分に正当な選択です。

「行きたくない」と思った自分の感覚を、どうか否定しないであげてください。


この記事は、運営者ポン太の実体験をもとに書いています。法律や制度に関する内容は執筆時点の情報であり、個別のケースについては専門家や公的機関にご確認ください。また、当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

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この記事を書いた人

やめどき研究所 運営者。HSP・内向型の40代。不動産営業・運送・自動車工場など7回の転職を経験。3年前に適応障害の診断を受け、無理して合わせない働き方を模索中。「辞めたいのに辞められない人」の最初の一歩を応援します。

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