出社回帰で「また満員電車?」辞めたい人へ|リモート終わりの判断基準と現実的な次の一手

また満員電車に戻るのか | やめどき研究所

会社から「来月から週5日出社でお願いします」と言われたら、あなたは何を思うでしょうか。

私なら、まず「通勤イヤだな」と思います。次に「今までリモートでできてたじゃん」と。そして夏の暑い日や雨の日の満員電車を想像して、げんなりすると思います。

私自身は、リモートワークが急に週5出社に切り替わるという経験をしたことはありません。ただ、もし今それを命じられたら、間違いなく転職を考えたと思います。実際、今は在宅中心の働き方を選んでいますが、その理由の一つは「満員電車にもう乗りたくない」という、かなり率直な気持ちです。

満員電車って、乗っている人がみんな少し攻撃的に見えませんか。ぶつかってくる、押してくる、スペースが空いているのに詰めない、つり革を独占して離さない、降りる人がいるのにドア付近で動かず道を空けない。挙げていけばキリがないくらい、朝から嫌な気分にさせられる要素が詰まっています。あの空間に、週5日戻る。想像するだけで気が重くなるのは、あなただけではありません。

この記事では、「出社回帰でまた消耗する生活に戻るくらいなら辞めたい」と感じているあなたに向けて、感情論だけでなく、実際のデータ・法律の考え方・現実的な選択肢を整理してお伝えします。


目次

そもそも、テレワークは本当に減っているのか

「出社回帰」という言葉をよく聞くようになりましたが、数字で見ると、実態は思ったより単純ではありません。

公益財団法人日本生産性本部が継続的に実施している「働く人の意識調査」によると、テレワーク実施率の推移はこうなっています。

調査時期実施率
2024年1月14.8%
2024年7月16.3%
2025年1月14.6%(過去最低を更新)
2025年7月16.8%
2026年1月15.4%

つまり、一方的に下がり続けているわけではなく、15%前後で上下しながら横ばいが続いているというのが実態です。同本部も「新型コロナの5類移行後(2023年7月調査以降)の実施率平均は15.6%」と整理しています。

ただし、企業規模による差は大きい

全体では横ばいでも、規模別に見ると景色が変わります。2025年7月調査では、従業員1,001名以上の企業で31.8%、101〜1,000名で20.1%、100名以下では9.3%でした。

大企業ほどテレワークが残っており、小規模な職場ほど出社が前提になっている。もしあなたが「自分の会社だけ出社に戻された」と感じているなら、それは企業規模や業種による差かもしれません。

意外なデータ:「テレワークしたくない」人も多い

もう一つ、押さえておきたい数字があります。2025年1月の調査では、自宅勤務を実施していない人のうち、「実施したくない」が63.1%で、「実施希望」の36.9%を上回りました。

一方で、実際にテレワークをしている人の今後の実施意向は、最新調査で80.0%が「続けたい」と回答しています。

つまり、すでにテレワークを経験している人ほど継続を望み、経験していない人はそれほど求めていないという構図です。あなたが「リモートを取り上げられるのがつらい」と感じるのは、その良さを知っているからこそ、とも言えます。


それでも「出社回帰」は起きている

全体の数字は横ばいでも、個別の企業では方針転換が相次いでいます。

海外では、Amazonが2025年1月から対象社員に原則週5日出社を求める方針に切り替え、Microsoftも2026年2月から段階的に週3日出社を求めると発表しています。国内でもGMOインターネットグループが2023年に出社を原則とする方針へ転換し、LINEヤフーも2024年12月にフルリモート勤務の廃止を発表しました。

(各社の方針は今後も変わる可能性があるため、最新情報は各社の公式発表でご確認ください)

企業側の言い分は「コミュニケーションの活性化」「新人教育」「生産性向上」といったものが多いのですが、それが従業員側の実感と一致しているかは別問題です。

痛みの感じ方は、立場によって違う

ここで一つ、あまり報道されない数字を紹介します。

日本生産性本部が2023年に行った調査では、勤め先のテレワーク制度が制限・廃止された場合、管理職ではないテレワーカーの16.4%が「退職・転職を検討する」と回答したのに対し、管理職では9.6%にとどまりました。約1.7倍の差です。

(この調査はテレワーク経験者への「もし廃止されたら」という仮定の質問に対する回答であり、実際の離職者数の統計ではありません)

つまり、出社回帰の痛みは、決定権を持つ側と、それに従う側とで感じ方がかなり違う、ということです。あなたが「なんでこんなに辛いんだろう」と感じるのは、決して大げさな反応ではありません。


「辞めたい」は甘えなのか。残る前に整理したい3つの軸

出社回帰への不満は、実は一括りにできません。人によって「何が」しんどいのかが違うからです。辞めるかどうかを考える前に、まず自分がどれに当てはまるかを整理してみてください。

① 通勤そのものが負担になっているケース

往復の時間、満員電車のストレス、交通費や身支度の負担。これは「出社さえしなければ解決する」タイプの不満です。冒頭で書いた私の感覚も、まさにこれです。

② 生活の前提が崩れているケース

リモート前提で家を借りた、地方に引っ越した、育児や介護の送り迎えとリモートを組み合わせて回していた。こういう人にとって、出社回帰は「働き方の変更」どころか「生活設計そのものの崩壊」に近い話になります。

③ 評価のされ方に納得できなくなったケース

成果ではなく「席にいるかどうか」で評価されているように感じる。在宅の方が集中できて成果を出せていたのに、出社した人の方が評価されている気がする。こうした不公平感も、退職検討の大きな引き金になります。

自分がどのタイプに近いかによって、「交渉で解決できる余地があるのか」「そもそも会社の姿勢とかみ合っていないのか」が見えてきます。

①は部分的な交渉(週1〜2日だけでも在宅を残せないか)で解決する可能性がありますが、②③は会社の方針そのものと向き合う必要が出てきます。

いずれにせよ、「甘えかどうか」を自分で裁く必要はありません。辛いと感じているなら、それは対処すべき問題です。


出社命令、本当に拒否できないのか

ここは慎重に書きます。結論から言うと、「出社命令は絶対に拒否できる」とも「絶対に従わなければならない」とも言い切れません。 契約内容と実態次第で判断が変わるからです。

古い判例(東京地裁昭和51年3月24日判決)では、「定められた勤務時間・勤務場所で労務を提供することは、従業員の最も基本的な義務である」とされています。これだけを見ると、出社命令には従うべき、という話になりそうです。

ただし、その後の判例では違う判断もあります。東京地裁令和4年11月16日判決では、契約書上は「本社事務所」が勤務地となっていた社員に対し、実態としてリモートワークが原則化していたことを踏まえ、「就業場所は原則として自宅であり、会社は業務上の必要がある場合に限って出社を求められる」と判断し、出社命令とそれに基づく退職処分を無効としたケースがあります。

つまり、契約書の文言だけでなく、「実際にどう運用されていたか」が争点になった事例がある、ということです。これは一律に「フルリモート採用なら出社を拒否できる」という話ではなく、あくまで個別の事案での判断ですが、「契約書に出社と書いてあるから絶対に従うしかない」とも限らない、ということは知っておいて損はありません。

また、就業規則の変更で労働条件が不利益に変わる場合には、変更の必要性や労働者側の不利益の程度、代償措置の有無などを総合的に考慮して有効性が判断される、という枠組みが労働契約法(第7条〜第10条)に整理されています。

ここから先は専門家の領域です。「自分の契約書にはどう書かれているか」「実態としてリモートがどこまで前提化していたか」によって話が変わるので、不安な場合は、労働基準監督署や弁護士、社労士に一度相談することをおすすめします。「出社命令だから仕方ない」と即座に諦める必要はありませんが、「拒否すれば絶対に大丈夫」と考えるのも危険です。


「辞めたら会社都合になる」は本当か

出社回帰を理由に辞める場合、「会社都合退職になって失業給付が有利になるのでは」と考える人もいますが、ここは誤解しやすいポイントです。

雇用保険には「特定受給資格者」(会社都合退職の中でも手厚い給付を受けられる区分)と「特定理由離職者」という区分があり、たとえば「通勤が困難になる転勤を命じられた」ようなケースは対象例として挙げられています。

ただし、単に「出社頻度が増えた」というだけでは、自動的に会社都合や特定理由離職者になるとは限りません。 勤務地そのものが変わるわけではないケースが多いためです。この判断は個別事情によってハローワークが行うものなので、「出社回帰なら会社都合になるはず」と決めつけて動くのは避けた方がよいでしょう。

もし離職理由に納得できない場合は、離職票の「離職者本人の判断」欄に「異議あり」と記載して提出することができます。その場合、ハローワークが会社と本人の双方から事情を聴いた上で、最終的な判断をします。

「泣き寝入りしかない」わけではありませんが、「出社回帰=会社都合」という単純な図式でもない、ということは覚えておいてください。

関連記事:「自己都合退職でも失業保険は早くもらえる?2025年改正後の給付制限と確認ポイント」


会社に伝えるのが怖いなら

ここまで読んで、「結局、辞めるにしても、それを会社に伝えるのが一番怖い」と感じている方もいると思います。私自身、7回転職していますが、何回経験しても「辞めます」と伝える瞬間の緊張感は消えませんでした。

どうしても自分の口から言い出せない場合、退職代行という手段があります。ただし、ここは慎重に選んでほしい部分です。

退職代行の運営元には大きく分けて「民間法人」「労働組合」「弁護士法人」の3種類があります。このうち、民間法人が運営するものは、法律上「交渉」を行うことができません。会社側が「本人以外とは話さない」と拒否した場合、そこで対応が止まってしまうリスクがあります。

実際、2026年8月には、大手退職代行サービスの運営会社と前社長らに、弁護士法違反で有罪判決が言い渡されました。

関連記事:「大手退職代行業者の弁護士法違反事件でわかった落とし穴|弁護士・労組・民間の違いと安全な選び方」

一方、労働組合が運営する退職代行は、憲法・労働組合法で認められた「団体交渉権」を根拠に、退職日の調整や有給消化、退職金の交渉まで対応できます。弁護士法人が運営するものは、法的な交渉に加えて未払い賃金の請求なども視野に入れられます。

このサイトで紹介するのは、弁護士運営か労働組合運営の退職代行に限定しています。 安さだけで選んで、いざという時に交渉が止まってしまうのは、一番避けたい事態だからです。

関連記事:「【業者比較】退職代行の評判・口コミ|料金と運営元で選ぶ失敗しない選び方」


よくある不安・Q&A

Q. 出社が嫌というだけで辞めるのは、わがままでしょうか。

通勤の負担、評価の不公平感、生活設計の崩壊。これらは実際に多くの人が退職・転職の理由として挙げている、れっきとした事情です。調査でも、テレワーク制度が廃止された場合に退職・転職を検討する非管理職は16.4%にのぼります。無理に「甘えかどうか」を自分で裁く必要はありません。

Q. 交渉の余地はないのでしょうか。

通勤負担だけが問題であれば、週1〜2日だけでも在宅を残せないか交渉できる可能性はあります。ただし、会社の方針として「原則出社」に完全に舵を切っている場合、個人の交渉だけでは変えられないことも多いです。

Q. 出社を拒否したら懲戒処分を受けますか。

契約内容や実態によりますが、一律に「拒否すれば大丈夫」とは言えません。不安な場合は自己判断で拒否する前に、労働基準監督署や弁護士・社労士に相談することをおすすめします。

Q. 転職するにしても、次もまた出社回帰されたらどうしよう。

これは実際にリスクとしてあります。フルリモートを謳う求人でも、入社後に方針転換されるケースは起こり得ます。求人票の文言だけでなく、面接で「今後の出社方針の見直し予定」を直接質問しておくことが、一番現実的な自衛策です。

なお、データを見る限り、テレワークが残りやすいのは従業員1,001名以上の大企業(31.8%)で、100名以下の企業では9.3%にとどまります。企業規模も、次の職場を選ぶ際の一つの目安になるかもしれません。


まとめ:満員電車に戻る前に、一度立ち止まっていい

出社回帰のニュースを見るたびに、「またあの電車に乗るのか」とうんざりする気持ち、私にはよくわかります。誰かに押され、つり革を独占され、朝から不快な気分にさせられる。そんな生活に戻るくらいなら、という気持ちは、決して大げさな反応ではありません。

ただ、辞めるにしても、勢いだけで決めてしまうと、後で「もっと交渉できたかもしれない」「別の選択肢もあったかもしれない」と悔やむこともあります。まずは自分がどのタイプの不満を抱えているのかを整理し、契約や制度の建前も知った上で、それでも「辞める」と決めたなら、その決断は間違っていません。

そして、いざ「辞めます」と伝える段になって足がすくむようなら、無理に自分一人で抱え込む必要はありません。弁護士や労働組合が運営する退職代行という手段もあります。

満員電車に戻るかどうかを決めるのは、会社ではなく、最終的にはあなた自身です。


この記事は、運営者ポン太の実体験をもとに書いています。法律や制度に関する内容は執筆時点の情報であり、個別のケースについては専門家や公的機関にご確認ください。また、当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

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この記事を書いた人

やめどき研究所 運営者。HSP・内向型の40代。不動産営業・運送・自動車工場など7回の転職を経験。3年前に適応障害の診断を受け、無理して合わせない働き方を模索中。「辞めたいのに辞められない人」の最初の一歩を応援します。

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